日本で活動する法人の決算月で、最も多いのは3月です。上場会社の約80%が3月を決算月としています。3月に決算が多いのは、日本の国や地方自治体の決算が4月始まり3月締めの年度単位になっていることと関係が深いといえます。
決算期には、一年間の経営成績と財政状態を法人に関係する人(各種利害関係者)に知らせるため決算報告書を作成します。各種利害関係者とは、経営者本人、株主、債権者、取引先、従業員、利用者、所管行政庁など様々です。これらの報告は通常2か月以内に行いますので、5月は決算報告の集中月となるわけです。
法人と言っても、株式会社、協同組合、公益法人等、地方自治体など法人形態は様々です。どの法人も各種利害関係者と関係を持ちつつ事業活動を行っていますので、財政状態と経営成績を明らかにし、これらを報告することに違いはありません。
ただ、これらの法人組織の設立目的の違いによって、財政状態と経営成績の表現方法が異なります。
今回は、会社の決算手続を中心に簡単に見ていきたいと思います。
会社の決算
会社は、営利目的の法人です。投資家が出資した事業資金を資本金として、事業活動を通じて利潤を追求します。経営者は事業活動に対する報酬を、事業資金を出資した投資家は、利益の配当を受け取ります。会社とはこのようなシステムのもと運営されている法人ですので、出資者への決算報告が法定されています。要するに出資者に対して、いくら儲かっていくら戻ってくるのかを知らせることが基本となります。銀行や取引先などの債権者は、これらの法定書類を利用して債務返済能力を分析することが可能となります。
法定書類である計算書類は、@貸借対照表、A損益計算書、B株主資本等変動計算書、C個別注記表で構成されており、取締役が作成します。その後、(会社の機関設計により若干異なりますが)基本的には作成した計算書類を監査役等が監査し、取締役会の承認後、株主総会で株主の承認を得て確定します。その後、税務申告と納税、ネット公告を採用している会社の場合であれば、ホームページ等で貸借対照表を公告することになります。
協同組合の決算
協同組合の場合は、事業報告書及び決算関係書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案)を作成し、監事の監査を受け、理事会承認後、通常総会で承認を得て確定します。通常総会には次年度の事業計画と収支予算も提出します。総会の後、税務申告と納税、所管行政庁へ書類の提出となります。
公益法人等の決算
公益法人等の場合は、一般に収支計算書、貸借対照表、財産目録、正味財産増減計算書を作成します。決算書類の承認手続きは各法人の定款や寄附行為によって異なります。
決算手続は法人形態によって様々ですが、監査報告、役員会議事録、総会議事録、税務申告、所管庁への提出書など、決算手続に付随する業務も多々発生しますので、漏れのないように気をつけましょう。
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